リチウム電池国内企業の動き

ソニーは国内2工場に400億円を投じ、リチウム電池の月産能力を2010年末に現行より 8割引き上げると発表しました。
携帯電話やノート型パソコンのほか、電動工具などの需要拡大に対応します。
リチウム電池は三洋電機、ソニー、松下電器産業が世界シェアの6割超を握ります。
国内大手3社がそろって増産計画を打ち出したことで、韓国サムスングループなどを含めた 量産競争が激しくなりそうです。

 

ソニーは子会社のソニーエナジー・デバイスに10年度までの3年間に400億円を投資。
本宮事業所に主要部品となる電極の量産工場を新設するほか、栃木事業所で基幹部品 「電池セル」の組み立てラインを増強します。
ソニーは今月下旬にシンガポール工場で携帯電話向け電池の量産を始めるほか、中国 でも生産を増強。
全社の月産能力(現行4100万個)を10年末までに7400万個に引き上げます。
ソニーはコードレス化が進む電動工具や小型・高出力の製品が登場しているひげそり機など 小物家電で広がる需要を取り込み、供給を増やします。
現在は約5割を占める携帯電話や、2割を占めるノート型パソコン以外の需要を開拓し、 事業規模を拡大します。
また、引き続き増産を検討するとしており、投資額の積み増しを検討する公算が強い。

 

三洋、松下も新工場を建設し、リチウム電池を増産する計画です。

世界シェア25%前後で最大手の三洋に対して、世界二位の座をサムスンと争うソニー (世界シェア20%程度)と松下が追撃する。
国内大手と海外勢とが入り乱れて戦う構図がしばらく続きそうです。
ソニーが6月に発表した中間経営方針で、リチウム電池を画像処理半導体などと並んで 集中領域と位置付けましたが、2006年にパソコン向け電池で発火事故が起こり、安全性 を巡って批判された際には事業撤退もささやかれていました。
増産投資で攻勢に転じるが、できるだけリスクを回避しながら安定的に事業を伸ばそうと する姿勢がうかがえます。
ソニーは90年に世界で初めてリチウム電池を実用化しました。
リチウム電池の開発により、デジタルカメラ、パソコンなど様々なデジタル製品の小型化 が実現し、こうした製品群を抱えるソニーの収益を支えてきました。
一方で電池事業はリスクも高い。06年にはパソコン向け電池での発火事件が発生し、 960万個を対象にした電池の回収費用などで、07年3月期決算には512億円を引き当て ました。
競合する三洋電機、松下電器産業もリチウム電池の投資計画を明らかにしていますが ソニーとは事業戦略が大きく異なります。
三洋電機は独フォルクスワーゲンと、松下はトヨタ自動車と組むなど、ここ数年、自動車に 搭載する電池の開発で連携を深めています。
これに対して、ソニーは開発・量産投資がかさむ自動車向けには慎重です。
ソニーが開発してきた電動工具や小型家電などは既存の技術や仕様で展開できます。
こうした需要を取り込んで収益基盤を固めながら、リスクは大きいが収益期待も大きい 自動車分野などに打って出る機会を狙う考えです。